明日の手前少し前。

今日の終わりと明日への片道切符。吐き出される虚無感。

奏デライン

まだ宵の口

頭の奥で響く聞き覚えのない調べ

見ないように進むのは

勇気がないから

それでも耳を澄ますのは

人一倍周りが気になるから

 

まだ宵の口

いつもと同じような時間に

いつもと同じような人口密度だけ高い場所

 

未だマイナスなのに

何処か勝ち誇ったり

何も得ていないのに

いつも用心深いのは

 

これ以上、失いたくないから

上を向いて進めないのは

空いたポケットから溢れ落ちる何かが

あると信じているから

 

ふと真夜中に

忘れかけたフレットに指が走る

 

奏でたい音色さえ

見えないままに。