立ち止まる
その場から足早に立ち去ると
直ぐに重い足音を引き摺り
軋む車輪が転がり込んだ。
少しだけ、立ち止まり
ただ鉄骨が無造作に組まれた天を仰ぎ
大きな溜息をついた
いつからか
狭くなるばかりの視界に
広くなるばかりの世界は映りにくくなり
日々すり減らす肉を心を。
ただ過ぎるだけの時間に
形を求めるから。
こうして幾ばくか立ち止まり
溜息つくことが
何処か大事なことのようになる。
何も意味がないことも。
何も変わらないことも。
立ち止まる前から
わかってる。
それでも
少しだけ、立ち止まり
ただ鉄骨が無造作に組まれた天を仰ぎ
隙間から見えた真っ白な月に
ただ溜息とは違う、言葉を吐き出した。